アパート経営は危険!?

安易なアパート経営には気を付けましょう。

2015年に施行された大幅な相続増税により節税対策としてのアパート経営がふたたび注目され、今日本中に賃貸アパートが乱立しています。
現在も増加傾向にあり、人口減少と相まって需給バランスが崩れ全体としてみれば今後は確実にその収支状況は厳しいものになっていくようです。
アパート経営に乗り出すのは相続税対策になるからといって安易に業者の話に乗るのではなく慎重に検討しましょう。

いくつか自身の経験をふまえアドバイスをさせていただきたいと思います。

●まずご自身の所有の土地にアパートを建築する場合、その費用の内容をはじめ需要がどのくらいあるのだろうか?競合するアパートはどのくらいあるのか?などをしっかりと調査・分析しましょう。駅から離れ人気もないようなところにわざわざ住もうという人は少ないですよね。たまにナゼこんなところにアパートが立っているんだろう?と思うような立地に物件が建っているのを目にします。ご自身の土地の価値を信じ最大有効活用をされたいお気持ちは分かりますが、賃貸住宅として本当に需要があるのかどうか?営業マンの甘言には乗らず冷静に判断しましょう。アパート建築などについて直接利害関係にない第三者、例えば信頼できる地元の不動産会社の方、相場に詳しい方などのお知り合いがいれば相談してみると良いでしょう。

●「家賃保証」といっても、一定期間が過ぎ、対象物件の賃料相場が下がり借主から受け取ることができる賃料が下がってくれば当然にオーナーへ保証される賃料も下がってきます。この値冷えリスクをはっきり認識しないまま契約してしまう方が大勢いらっしゃるようです。業者によっては、このリスクをあえてはっきりと相手方に説明せずあたかも一定賃料が長期間に渡って保証されるような認識をさせたまま契約に進むこともあるようです。そんなはずでは無かった、ではもう遅いのです。契約内容をしっかり確認しましょう。

●返済シミュレーション、金利、土地建物の評価、設備の減価償却、将来見込まれる経年劣化における修繕費用など自分自身では把握しにくい部分やアドバイスを受けたほうがよいことは不動産に詳しい税理士やフィナンシャルプランナーなどの専門家に費用が掛かっても別途相談しましょう。専門家の意見を取り入れ長期間を考えたトータルバランスで資産運用をしましょう。

家賃保証システムを上手に活用しオーナーライフを過ごしている方も大勢いらっしゃることでしょう。
ただ安易な考えで、節税が出来てアパート管理は業者に任せたままでよく、その上家賃保証があるのでノーリスクで収入があるので安心だ、といい側面ばかりを見てしまうと思わぬところに落とし穴が潜んでいる可能性があるということです。よく言われることですがオーナー自身も経営者としてきちんとリスクを知り当事者として事業をしていくという感覚と心構えが必要ということです。

悪いパターンですが、結果的に毎月保証家賃として入ってくる収入より、アパート建築に費やした借入の返済額のほうが上回ってしまうということは十分にあり得ます。
不動産投資用語でいうところの、いわゆる「逆ザヤ」状態です。
それだけでなく返済のバランスも変化していき、アパート自体も修繕が必要になったり、入居者とのトラブルによってはオーナー側に思わぬ費用が発生することもあります
何のためにアパート経営をしているのかよく分からなくなってしまった。ということにならないようにしたいものです。

もしも「契約」に至る場合は、自己責任を持って一字一句内容を事前確認し、建築にあたっては本当にご自身の計画にあった建物・設備・グレードなのか、家賃保証にあたっては何をいつまで保証してもらえて、いつどういった場合に保証賃料が更改されるのか、どういった場合に契約終了なのか、またどんな場合に費用負担が発生するのか、不明な点はとことん確認するという姿勢を持ち、慎重に優良な業者を選定しプランを立てましょう。

以上、賃貸経営にご興味のある方ならすでにご存じかと思うようなことばかりを書き連ねてしまいましたが、何かしらのアドバイスになれば幸いです。